滝谷便りno.22

 

no.22は恒文社発売の「新潟発」田舎暮らし滝谷からに掲載されたものです。)

  2002.7.28

月兎庵・庵主 中矢澄子

 

「林の中で輪になって」

 

エッ!?貴女が太鼓を叩くの?

 二年前。友人の写真家・ゲリーさんの個展会場で目のくりくりした秋田美人に出会った。名前は古田木綿子。中南米あたりの民族衣装を着て、足元を見れば磨り減った下駄履き。この磨り減った下駄でスペインにも出かけたとやら。何ともユニークでチャーミングな彼女に、私は興味津々。聞けば西アフリカの太鼓、ジャンベをアマカノと言う仲間たちと叩いているとのこと。とたんに私のアンテナがビビーと振れた。「あのね、私、新発田の山奥に農園を持っているの。農園にはクルミ林があってね。そこで村のじっちゃん、ばっちゃん達に貴方達の太鼓を聞かしてくれないかしら〜」って。すると彼女の反応もすこぶる良好。早速その場でリーダーの中野渉さんに繋いでくれて、その日の内に「アフリカ太鼓コンサートin滝谷クルミ林」が決定!!

さー、コンサート当日。チラシを作ってばら撒いたこともあって村の人達も早々に会場に来ていた。夏の真っ盛り。気温、30度は越しているはず。しかし15メートルを越す高さのクルミ林の中はひんやり。時折山から降りてくる冷たい風がコンサート会場まで届き、最初の太鼓がポンと鳴った。クルミの木々に。隣の杉林にジャンベの音が木霊する。思っていた以上の音響効果だ。楽器の説明をしながら次々に即興で演奏が続く。初めて聞くリズムのはずなのに、何処か懐かしい。アフリカのリズムは風に乗ってクルミ林を抜け、村まで届いた。しばらくすると丸太の椅子は満席で立ち見(聞きかな)も出ている。

演奏が佳境に入るとさー、皆さん。聞いてばかりでなくってリズムに合わせて体を動かしましょう。と中野さんが声を掛けると、やおら阿部ばっちゃんが立ち上がった。フムさすが、ばっちゃん踊るのかと思っていたら足元の伸びた蔓草を採り出した。なんと、その手つき腰つきがリズムに合っているではないか。ばっちゃんは、皆が蔓草に足を取られてはいけないと真剣な顔付きで草取りに夢中。しかしリズムと草取りの絶妙なコンビネーションに思わず会場に笑いが起こった。やや緊張していた観客もリズムを取り出した。すかさず中野さんはシェケレ、アサラト、カリンバ、ヨーヨー、拍子木など珍しい楽器を持ち出しては皆に渡し、観客はそれらの楽器を振りながらいつしか踊りの輪が出来ていた。音楽に国境は無いとよく言われる。正に今ここでそれが証明されている。ばっちゃん達が楽しそうに踊っている。私は興奮気味にその踊りを凝視した。フム何処かで見た何処かで見たぞな〜んと、それは盆踊りや〜、参った参った!!アフリカのリズムを伴奏に盆踊りを踊ってしまう ばっちゃん達のしなやかさに感動してしまった。コンサートの後半は村人の美声も飛び出して40年ぶりの盆踊り大会が復活した。

 コンサートは昨年も盛大に行なわれ、アマカノは二年続けて地元の小学校でアフリカ太鼓のワークショップに呼ばれた。アマカノも私も滝谷の風になって、新しい種を運んで来たようだ。どんな芽が吹くか楽しみだ。よーし、どんどん楽しい種を運んで来るぞー!!

 

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