滝谷便りno.4                                     

1999.4.21

月兎庵 庵主 中矢 澄子

「わーい。春だ〜」

わーい。春だ〜と、思わず叫びたくなる程の季節が滝谷にも訪れました。新潟市内では梅がとっくに散り、桜もほとんど散って八重桜が満開だと言うのに、滝谷に向かう途中の集落は桜吹雪の真っただ中。その桜吹雪の中を残雪の磐梯朝日国立公園の山々の土手っ腹に突き刺さるように時速80キロで車を走らせるこの時期は、私が一番大好きな季節。雪国で生活していて良かったと思う瞬間です。滝谷の一つ手前の赤谷は桜が満開なのに、車で5分しか違わない滝谷は、桜が七部咲き、梅が九部咲き、田圃の畦や野原には、一面キクザキイチゲに野すみれが可憐な姿を見せています。家々の庭や野原には、水仙も咲き始めました。 そー。もちろん月兎庵も花盛りです。

月兎庵を冬にGETしたその時は、あたり一面茶色で何となくチョット寂しい感じでしたが、前庭の椿や野すみれが咲き、水仙の芽が屋敷中に、にょきにょき顔を覗かせています。そして、じーと目を凝らすと、オダマキが次の準備をしているではありませんか。これだけでも、ヤホーとかワーイと声を上げそうになるのに、裏庭の小川の辺には水芭蕉が咲いていました。 桃源郷と言う言葉は滝谷の為にあるんだ、なんて勝手に思い込んでしまうほどです。

そうそう、月兎庵のシンボルツリーに山桜を植えるつもりでしたが、大島桜になってしまいました。造園会社を営んでいる友人からのプレゼントです。地味な山桜を買うお客様がいないのでしょうか。造園屋さんは、山桜をストックしていない様です。しかし、大島桜も気品があって素敵でした。ゆうに3mはあるので、来年にはしっかりお花見が出来そうで、今から楽しみです。

それにしても、冬の滝谷に何度か雪かきに行きましたが、やはり想像以上の雪でした。でも、今年は少なかった方だとか。屋根の雪下ろしは2回で済みました。またまた、阿部じっちゃんにお世話になってしまいました。雪下ろしの件を相談に行こうと思って、滝谷に出向いた時には、もう、既に屋根には雪が残っていなかったのです。80才を過ぎても、まだまだ現役。実に頼もしいボーイフレンドができたことに、改めて嬉しく感じてしまいます。月兎庵の修理に時間を作っては通う度に、ボーイフレンドの数が増えました。皆、一応に阿部じっちゃんのように頼もしい人達です。ボーイフレンドだけではありません。ガールフレンドも増えました。2回目の春を迎え、畑の整備をしていると、花好きのガールフレンド達が集まって来て、無事の再会の喜びを分かち合いました。なにしろ、70,80を過ぎた人達がほとんどなものですから。世の中全てが順番通りでないにせよ、彼ら、彼女らと共に過ごせるのは何時までかと思うと、そっと、その背中を見つめては「いつまでも、お元気で…」と、呟いてしまいます。

[前の便り] [Top] [次の便り]

[滝谷便り]