1. 「行かねばならぬ」
    腰が治った訳ではないのにどうしても行きたい所があった。久々の滝谷。久しぶりの草の匂い。水を得た魚のように元気がフツフツ湧いてきた。
    林道を走って目的地までの中間地点に差し掛かった時、道路が深くえぐられていた。毎年雪解け水で道はえぐられるのだが、例年だと初夏になると車が通れるように砂利が敷き詰められる。それなのに何もしていないと言うことは、この路は見捨てられたのかもしれない。この先歩いて行こうかどうしようかと躊躇した。
    迷ったあげく歩いて目的地へ到着。生って...いた。山椒の実だ。
    40年前に吉兆本店のちりめん山椒を食べた。非常に美味しかった。それ以来自分で作ろうと思った。毎年毎年研究に研究を重ねて満足のいくものになった。時折得意になってちりめん山椒ご飯をご馳走すると喜んでもらえ、年々ファンが増えていった。山椒の実を摘んでいると、あの人の顔、この人の顔が浮かんでくる。またご馳走したい。しかし、今年は裏作か?昨年の三分の一しか採れなかった。
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