月兎庵田舎暮らし日 記
2011年5月・6月
6月29日(水)晴れ 「懲りもせず」 今日も気温がどんどん上がり蒸し暑くなりました。 夕方近くになるとお尻がムズムズ。 昨夜のリベンジにとまたまた出掛けました。 昨日より多く飛んでいましたが、ここのポイントは年々数が減っているように思います。 蛍のシーズンも後わずかです。 明日は他のポイントに出掛けようと思っています。 日中はあかりの制作、夜は蛍撮影。 残り少なくなった蛍の季節を存分に堪能しようと思っています。 それにしても見学者がいません。 撮影には好都合ですが、こんなに素敵な風景を何故見に来ないのかと不思議です。
6月28日(火)くもり 「バカは必須」 朝からムシムシしたお天気。 この調子だとホタルが多く出そうだと期待が膨らみました。 しかし予報では夜は雨。 夕方近く杉原さんへ電話をするとさっきまで酷い雨だったとのこと。 行こうかどうしようかと迷いましたが、行ってみなければ分かりませんから出発しました。 道中一部では本降りの所がありましたが滝谷に近づくにつれて雨は止んでいました。 「やっぱり現場に立つことが大事なのよね」と思ったのも束の間。 ポツポツ降りだした中で撮影をしましたが、ほとんどバカですね。 先日白神山地でアカショウビンを撮っている人達がいましたが朝の4時から待っているんだと言っていました。 その人達に会ったのは夕方4時。 「凄いですね」と言うと、「バカですから」と言っていましたが、いい写真を撮るにはバカが必須です。 今日は中途半端なバカだったもんですから失敗しました。 悔しい!と思う気持ちが上達の早道。 そう自分を慰めています。
6月27日(月)「ブナの森へ」 今夜東北のブナの森から帰ってきました。 25年ほど前に自然環境の座談会に出席することになりました。 花の仕事をし始めた頃でした。 その座談会で白神山地のブナ林のことを始めて知りました。 それ以来一度は訪ねたいと思い続けていました。 この度その想いがようやく叶ったのです。 今までに飯豊連峰や朝日連峰のブナの森には度々出掛けていましたが、八甲田や白神山地のブナの森の厚みには圧倒されたと言うか、月並みですが感動しました。 この度はかなり駆け足でしたのでまた機会を作って出掛けたいと思っています。 帰路は青森県から国道をひたすら走って途中、秋田県潟上市にある中村征夫さんのギャラリー「ブルーホール」に立ち寄って常設展と岡本行夫さんの「砂漠の向こうのブルー」を見てきました。 酒蔵を活用したレンガ造りの広いギャラリーはとても素晴らしく、展示されている写真も大迫力。 山を楽しんだ後は海。 とても贅沢な旅をしました。
旅の一日目は山の中の一軒宿、黒湯温泉に宿泊しましたが、山道を登っている最中は霧が深くてブナ林がとても神秘的でした。 宿のご主人曰く「こんなに濃い日はめったにないんですよ」と。
6月23日(木)雨 「大雨」 梅雨明けを思わせるような大雨でした。 その中でもハチが蜜を集めるために花から花に飛び回っていました。 なにか教えられている気がしました。
6月22日(水)晴れのち雨 「憧れの仕事場」 木工の相談に赤谷集落の青山さんの工房を訪ねました。 あいにく青山さんは花を求めて山に行ったとのこと。 お兄さんが相談に乗ってくれて問題が解決しましたが、青山さんの工房を訪ねる度に羨ましくなります。 広い作業場には電動カンナ、電動ノコなど大型電動工具があるのです。 憧れるなぁ。
6月21日(火)曇り一時雨 「適温適湿」 気温24℃、湿度74%とくればホタルの出番です。 今年最初のホタル撮影。 夜が来るのを楽しみに待ちました。なのに・・・なのに神様は無情の雨を降らしてしまいました。 夕方スコールのような雨でした。 撮影前には止みましたがホタルにとっても出鼻をくじかれたのでしょうか、やはり少なかったです。 でも神様はお見捨てにならなかったのです。 まさかと思っていた星空。 流れ星のようにホタルが飛びました。
6月17日(金)晴れ 「白が主役」 昨日、ようやく新潟地方も梅雨入り宣言が出されました。 しかし今日は梅雨明けでもしたかなような爽やかなお天気です。 久々に山に入ると、山はすっかり夏模様になっていました。 そしてハクウンボク、ヤマブキショウマ、ヤマボウシ、ツルアジサイなど白い花が一斉に盛りを迎えていました。 そろそろ蛍の季節ですがホタルブクロはまだ咲いていませんでした。 今年の大雪がまだ影響しているのでしょうか。 どの花も昨年より10日ほど遅れているようです。 沢にはまだ少しだけ雪が残っていました。 こんなことは滝谷に入村して以来初めてです。 夜、加治川ネット21の若月さんから平野部では蛍が飛び始めたと連絡がありました。 梅雨時、新潟は爽やかな日が続き気持ちがいいですが、ムシムシしないと蛍が飛ばなくて・・・痛し痒しです。
6月16日(木)晴れ 「そら急げ!」 早く寝たお蔭で早く目が覚めた。 昨夜の続きで作品を作ろうと机に向かった。 そのとたん今日は皆既月食だと思い出した。 コンセントに差し込んだハンダこてのプラグを抜き、カメラを持って慌てて外に飛び出した。 辺りはまだ暗い。 西の空を見上げて月を探した。 高いビルに阻まれて月は見えなかった。 そら急げ! タワーパーキングから車を引っ張り出し街はずれの展望台へと向かった。 さっきまで群青色だった空が刻々と色を変え紫がかってきた。 しばらく走ると車のバックミラーに映る東の空の地平線はピンク色に染まり始めた。 皆既月食は4時22分だ。 まだ少し時間はある。 現地に到着すると自分と同じ様に皆既月食を見物しようと数人やって来ていた。 「月は?」 「あっち」 白ばみ始めた空の中、月が落ちる水平線を探した。 月が見えない! 水平線の少し上に小さな雲が・・・。 あそこかな?あの雲の下に月が来れば・・・。 しばしジーッと見つめた。 しかし一向に顔を出さない。 後方からオレンジの光が上がってきた。 朝日連峰の山並みから朝日が顔を覗かせた。 ガ〜ン。 ・・・と言うことで今回の皆既月食は見ることができませんでした。 次回の皆既月食は12月10日だそうですが、新潟では無理でしょうね。
6月15日(水)晴れ 「展示のお知らせ」 建築家の金子勉さんからオープンハウスのご案内を頂いた。 木をふんだんに使い遊び心のエッセンスも散りばめられた住み心地のいい家を設計されるのでとても興味を引き、今までにも何軒か拝見したことがある。 先週の土曜日、いよいよオープンハウスの日だと思い、伺った。 すると早とちりの私は一週間違えていた。 その日は施工業者の方がおられ偶然私のことも知っていてくださったので様々なお話を聞けて無駄足にならなかった。 家に帰ると金子さんから連絡が入った。 この度の家は「ギャラリーハウス」として設計した家なのでオープンハウスの時に私の作品を展示しませんかと言うお誘いだった。 私の他に陶芸家の菅原洋さんと画家の内田美代子さんの作品も展示され、オープンカフェも開設され美味しいケーキとコーヒーが出されるそうだ。 そして対談形式でインターネットラジオの放送もされるとのこと。 「これ二三日前に思いついたんです。」と。 次々に閃く金子さんの企画がなにやら楽しげで私も参加することにした。 金子さんの設計された家や私の作品にご興味がある方は、今週土日の二日間オープンハウスがありますので是非お出掛けください。 私は土曜日の10時から3時まで現地におります。 詳しくはコチラで。
金子勉氏設計の燕のギャラリーハウス
6月12日(日)薄曇 「梅雨支度」 冬支度という言葉は聞き慣れた言葉ですが、梅雨支度は聞き慣れないですよね。 私がつくった造語です。 まもなく新潟も梅雨を迎え、雨の日が続き徐々に蒸し暑くなってきます。 すると日に日に草木が元気を出し、あっと言う間に藪になってしまいますから今日は蕎麦畑と庭の草刈りをしました。
クワの実 6月8日(水)晴れ 「魔法使いになれるかなぁ」 先日、日記に「BOROの神様・KUZUの神様」を書いたら友人のMisaさんから、「作る人というのは、ガラクタを解体・再構築して、新しい価値を作っているのかななんて思いました。私たちはもしかしたら魔法使いでは!?」と、メールが入ってきた。 なるほどと思ってみたものの、彼女はシュールな作品もつくるがポップなものもつくり、行動も魔法使いのような気がする。 しかし、自分は確かにBOROやKUZUを使ってはいるが、まだ魔法使いには至っていなくて相変わらずの山姥に留まっているような気がする。 秋に開催する個展では山姥の枠をはみ出そうと、海開きをする前に連日海に出掛けシーグラスを求めてとうとう山形県の鶴岡まで足を踏み入れた。 一昨年から集めてきたシーグラスでようやく小さな作品が1つ2つできるくらいに集まった。 これからが勝負。 せっかく集めた素材を活かしきれなかったら、ほんとうにKUZUになってしまう。 只今集めた素材を洗ったり削ったり磨いたりと奮闘しながら一つ一つパーツを作っている最中。 関東では梅雨に入ったとか。 まもなく新潟も梅雨入りするだろう。 梅雨入りする前には今の作業を終わらせなくては、気温と湿度が上がってくると次には漆掛けが待っている。 パーツづくりをしていると作家と言うより季節労働者だ。まだまだ魔法使いにはなれそうにもないなぁ。 なりたいなぁ。
6月6日(月)晴れ 「砂浜散策」 砂浜散策も村上市まで北上して来た。 今日辿り着いた浜は小石ばかり。 浜と言っても一括りにできないほど一つひとつの浜が個性的で興味深い。
6月5日(日) 「大人の遠足」 蕎麦仲間の面々と毎年恒例になった大人の遠足に金曜日から出掛けてきた。 行き先は同じく蕎麦仲間のYさんの北八ヶ岳の山荘。 今年は主に新緑ハイキングと美術館とギャラリー巡りを企画した。 新緑ハイキングには前々から行ってみたかった上高地へ。 爽やかな空気。 抜けるような青空の中、「帝国ホテルでケーキセットを食べよう」を掛詞に出掛けたが、大正池からハイキングをスタートしたら正午前に帝国ホテルに到着してしまったので、ここでランチ。 ケーキセットまでは食べる時間はなくなってしまった。 バスターミナルや河童橋付近は上高地銀座とでも言えるほどの人出。 観光地を歩くことが苦手な私だが、人が好んで出掛ける場所は文句なく美しい所だと改めて認識したので、これからは食わず嫌いをしないで出掛けてみようと考えを改めた。 今回のハイライトの一つ。 山梨県側の南八ヶ岳にある「平山郁夫シルクロード美術館」へも出掛けた。 一昨日から「平山郁夫 文明の十字路を往く」が開催されており、最晩年の傑作がズラリ展示され、今まではリトグラフの所為もあるのか余り興味を持って見たことがなかったのだが、生の作品を観て感動。 それとシルクロードの取材に40年の歳月をかけ150回も旅に出てほぼ網羅していることには脱帽の言葉しか出ない。
6月2日(木)小雨 「砂浜の星とボタン」 連日3・4時間砂浜を歩いています。 浜にも個性があり、シーグラスがたくさん打ち上げられている所とそうでない所や貝殻がたくさん打ち上げられている所など。 昨日歩いた砂浜はヒトデとカシパンウニの殻がたくさん打ち上げられていました。 新潟県は海に沿って長いので全ての浜を歩くと面白い発見がありそうで嵌ってしまうかも。 只今新潟市より北上中。
ヒトデ
カシパンウニの殻。 カシパンとは菓子パンのことかな?
5月31日(火)晴れ 「天候の荒れた翌日には」 昨日は風の強い一日でした。 今日は昨日と打って変わって穏やかな天気。 きっと波打ち際には様々なものが打ち上げられているだろうと、今日はシーグラスを拾いに出掛けました。 しかし、思っていた程漂着物はなく、シーグラスはまずまずの収穫。 海での拾い物も仕事の一環ですが、傍から見たらのんびりと遊びに来たように見えるのでしょうね。
5月28日(土)くもり 「BOROの神様・KUZUの神様」 8年ぶりにフラリと「にいがた銀花」に立ち寄ると、オーナーの池さんの「あ〜ら、お久しぶり」と相変わらず元気な声が掛かった。 「作家じゃないけどね」と言いながらボロ布にチクチク刺し子をし、いつの間にかれっきとした刺し子作家に変身されていた。 今は震災地に刺し子をした雑巾を1000枚送るのだと、常連さん達の協力も得て雑巾づくりの真っ最中。 「昔の木綿って味わいがあるのよねぇ。 だから捨てられないの。 ボロにも神様が居るような気がしてね」と。 確かに使い古したものには味わいがある。 だから私も捨てられないでアトリエにたくさん置いている。 しかし、この度の引越しで木綿ものを少し処分した。 その話しをしたら「もったいない!」と即座に言われた。私もそう思った。 でも自分の持ち時間を考えると処分した方が良いと思った。 するとまたまた池さんが「人間いつ死ぬか分からない。 明日かも。 10年先?20年先? 私はネ、先のことを考えて処分するより、処分費用を貯めて後は子供に任せることにしているのよ」と。 「100万あればいいらしいわよ」とも。 いい話を聞いた。 私の場合ボロだけじゃなくクズもあるから100万では利かないかも知れないが、モノづくりをする人間にとって素材が命。 既製品の真新しい素材ではいいアイディアは湧いてこない。 BOROやKUZUが大事。大切。 池さんの話を聞いて気が大きくなった訳ではないが、店内にあった土鍋を連れ帰ることにした。 心地いいものを側に置くことも大事。大切。(言い訳じみているかなぁ) 間もなく70の大台に乗る池さんは、ボロの美術館を造ることが夢だそうだ。 いつまでも夢を持って生きている人は活き活きとしていて 輝いている。 私もあやかりたいと思った。
素敵に歳を重ねている池さん。 「銀花」から連れ帰ったお鍋の神様。 5月26日(木)晴れ 「晩のおかずに」 新緑のみどりも徐々に濃さを増して、山は初夏のフジ、ホウノキ、トチ、ミズキ、ミツバツツジなど木の花で美しく彩られています。 しかし、内の倉湖に抜ける林道の峠には、まだ雪が残っていました。 ここでは、これからフキノトウ摘みの季節を迎えますし、村では今がワラビ採りの最盛期です。
晩のおかずにでもと、夕方散歩がてらワラビ採りに出掛けました。 すると佐久間のじっちゃんも、一昨日のマツノばあちゃんもワラビ採りに出掛けていました。 もちろんワラビは採って直ぐには食べられません。 採ったら先ずあく抜き。 沸騰したお湯に灰を少し入れ、灰汁に一晩漬け込みます。 あく抜きが終わったワラビは、おかかと醤油を少し垂らして。 油揚げと一緒に煮物に。 時にはスパゲティーの具としても我が家では春の食卓を賑わします。
5月24日(火)晴れ 「見〜っけ!」 浜に流木など探しに行くと、またまたコアジサシの卵を見つけ、コアジサシは小魚を見つけ、滝谷に入るとマツノばあちゃんがワラビを見つけていた。 今日はあちらでもこちらでも収穫に恵まれた一日だ。
夕方散歩をしていると、マツノばあちゃんがババちゃん手押し車を押して向こうからやって来た。 「何処へ行くの?」 「山へ」 手押し車を押して山? 興味が湧いて着いて行く事にした。 数メートルほど歩くと、マツノばあちゃんは手押し車を道端に置いてやおら葦原の中へ。 「家に居てテレビばかり見ていると体も鈍り足も悪くなるからワラビを摘みに来たんだよ」と。 マツノばあちゃんは93歳。 足元の悪い葦原の中をヒョイヒョイと歩いては葦くずや草に隠れているワラビを目ざとく見つけてはポキンポキンとワラビを摘んでいった。 12年前に園芸療法の勉強にカナダのビクトリアに出掛けた。 その時、訪問した病院で車椅子に乗って普段自分の足で歩いたことが無いオバアチャンが、園芸療法を受けている時にヒョイと車椅子から立ち上がって数メートル先にある土を取りに行った光景に出会ったことがある。 今日のマツノばあちゃんは、無意識で園芸療法をしているように思えた。 「足が悪くなったらお仕舞いだからね」という言葉に説得力があった。
5月21日(土)晴れ 「JPS展」 今日、日本写真家協会(JPS)展の表彰式があり、久々に上京してきました。 二年前に初めて応募して入選したのですが、昨年は落選。 ビギナーズラックでお終いにするのはチョットと思い、今年再び挑戦して運良く優秀賞を頂きました。 一昨年も今年も写真は、もちろん滝谷です。 山にばかり篭もっていると晴れがましい場所に出て行くことが億劫になり、それではイカン!と自分を鼓舞して出席したら大勢の方達から祝福を受け、私としては珍しく照れてしまったのですが、体形が大きいもんですから、そうは見えなかったのかもしれません・・・。 表彰式と祝賀パーティーの様子は、トンボの田中さんのホームページで紹介されていますから是非ご高覧ください。 田中さんは今年の7月から8月の約一ヶ月間柏崎博物館で100点ものトンボの大掛かりな写真展をされます。 ラブリーなトンボ、ビューティフルなトンボ、ワイルドなトンボをとても美しい写真で紹介されますので楽しみです。 近くになりましたら、またこのページでご紹介しますね。
トンボの田中博さん(左)と、この度副実行委員長の大役を果たされた福田健太郎さん(右)。
5月18日(水)晴れ 「桜守り」 花の大好きな星さんは生前桜を自分で接木して、それを村の入り口や焼峰山登山口に植えていました。 先日、星さんの生前に一緒に植えた三春の滝桜の孫苗は冬囲いを外しました。 今日は焼峰山登山口に植えてあった7本の桜の冬囲いをようやく外すことができました。 作業している時に、星さんが空から見に来ているような気がしました。 これからは滝谷の桜の桜守りを自分一人でやらなければいけません。 そうそう、今日滝谷でギフチョウが飛んでいました。 もう少しで月兎庵に入りそうになりました。 残念ながら撮ることはできませんでしたが、また楽しみが一つ増えました。 雪が消えたと思ったら、もうトンボも飛び出しました。 カエルも元気に鳴いています。
5月13日(金)雨のち晴れ 「脱兎のごとくとは」 朝目覚めると外はどんより。小雨も降っています。 それでも眠気覚ましにカメラをぶら下げて朝の散歩に出掛けました。 今の時期から6月上旬までは、野山も村も花が咲き乱れる色鮮やかな季節ですから自然と足が外に向いてしまうんです 。 元牧草地にやって来るとあっちにもこっちにもアケビの新芽が伸びていました。 アケビの新芽はちょっとほろ苦くて左党が好む酒の肴。 居酒屋などでは出なくて高級料亭あたりでないと出ないそうです。 こんなに簡単に採れるのもが・・・と思ってしまいますが。 そこで週末の来客にと摘んでいました。 すると後ろの方からダッダッダッーと大きな物音がしました。 誰も居ないはずなのに。 振り向くと冬毛と夏毛の入り混じった一羽の兎がもの凄い勢いで私の脇を翔っていきました。 正に「脱兎のごとく」と言う言葉通りでした。 足音の大きさには驚きましたが、初めて聞いた足音には感激しました。 昼近くに手仕事仲間のMさんと蕎麦会メンバーのOさんが来庵。 Mさんには桐ダンスに和服など、Oさんには実家から持ってきたオヒツにセイロウを引き取ってもらい、少しアトリエがスッキリし、助かりました。
5月12日(木)晴れのち夜、雨 「蜃気楼?」 早朝目が覚めてテラスに出ると一面の深い霧。 しばらくすると徐々に町並みが現れてきた。 幻想的な風景。 今日は何かいいことが起こりそう。 今日から滝谷入り。 さぁー、アトリエの片付け頑張るゾ!!
「新緑の季節」 幻想的な朝景で始まったからには何かある!と、またまた滝谷への途中ちょっと寄り道。 ここはコアジサシの秘密のコロニー。?。?。。のはず。 しかし周囲は何の変化無し。 「違っていたかな?」 そこへ突然上空で高らかな声がした。 見上げるとコアジサシが一羽、また一羽・・・。 パートナーを見つける為か、鬼ごっこの様に追いかけながら飛んでいる。 まだ数が少ないのは、渡って来たばかりだからなのか。 辺りを散策していると、あった〜〜!流木のガレキの中にぽつんと一つ卵がありました。 コアジサシの産卵はこれからの様ですね。 また楽しみ一つ増えちゃった!!
寄り道した後は真っしぐらに滝谷へ。 山桜の季節も過ぎ、山は萌えていました。 滝谷の入り口の八重桜は満開。 自然界のパワーが注入されたような気分になり、サァーやるぞ!と意気揚々と月兎庵の玄関を開けると、もう足の踏み場もない有様に愕然と。 この度の引越しで入りきらなかった物を月兎庵に持ち込んだので、引越し作業は一軒分ではなく二軒分になってしまったと言うことなのです。 ヤルしかない!と腹をくくって夜遅くまで部屋の整理に励みますが、凝り性な性格故に一番奥の部屋の押入れから片付け始めてしまったもんだから中々進みません。 やっとのことで寝室までは片付けて、今日はこれにて・・・おやすみなさい。
5月5日(木)晴れ 「春の好日」 早朝息子を見送って、小屋の片付けに滝谷に向かった。 途中、平野部の田んぼでは田植えの準備の田起しや代かき(しろかき)をするトラクターが甲斐甲斐しく動き回り、代かきが終わった田んぼには水が入り、雪を残した遠くの山々や山桜と柔らかな若葉の木々に彩られた里山が水鏡のようになった田んぼに映り、のどかな田園風景が広がっていた。 毎年目にするこの風景に触れる度に、何故か体中の血液が元気よく流れるのを感じる。 滝谷に近づくにつれて青空が広がってきた。 このまま小屋の片付けに入るのはもったいないような気分になり、今日労働するご褒美の前倒しと決め込んで途中寄り道をすることにした。 まだ山桜の時期には早そうだな?と思いながらも中々山集落から林道に向かった。 案の定、山の木々は芽吹き始めたばかり。 おまけに林道のゲートは閉まっていた。 次に向かったのは内の倉ダム湖。 途中、池に立ち寄るとサンショウウオ(多分トオホクサンショウウオ)の卵を見つけることができたが、まだカエルは産卵していなかった。 ダム湖を一周しようとしたら残雪の為に通行止め。 林道もダム湖ももう雪のことは心配ないと思うのに、何かあって責任を取らされるのはご免被りたいといったお役所姿勢がこの時期見えてヤキモキしてしまう。 今の時期は大地が日に日に活気付く。 様々な生命の誕生に出会えたければ歩けと言うことなのだろうけど、、、。 滝谷エリアに入り、集落に向かわないで加治川砂防ダム湖へ向かった。 冬の間はタンカル工場跡地の所で通行止めになっている道路も、5月の連休に入ると、この奥で阿部庄三さんが田んぼを作っているので俎板倉山登山口まで開く。 登山口で車を止めて先ずはお気に入りの沢へ。 その後辺りを散策するとタチツボスミレを始めとして、ショウジョウバカマやアズマシロカネソウ、イカリソウが既に咲いていた。 久々の山歩き。お天気に誘われて少し山を登ることにした。 しばらく藪こぎをしていると林床に白い花を見つけた。 近づくとイワウチワのようであった。 滝谷エリアではイワカガミは何処にでも見つけることができる。 しかし、イワウチワは今まで見つけたことがなかった。 以前見つけたのは奥阿賀エリア。それも薄桃色の。 初めて見つけた白のイワウチワの群生に興奮! やっぱり山歩きは文句無く楽しい。 赤谷集落にある喫茶店「ミントン」でオオルリを4羽も見たと、先日出会った人から聞いた。 もう渡って来たのかと羨ましくその話しを聞いたばかりで、今年はまだ出会っていない滝谷家族(動物や植物。人は減っていくばかりですが)に積極的に出会いたいと思っている。 そうそう、三春から買って来た桜、今年ようやく二輪咲きました。植えてから何年経ったのだろう。
イワウチワ 寄り道が長くなって月兎庵に入ったのは12時を回っていた。 買って来たお弁当を食べて腹ごしらえを終え、やっと小屋の片付けをスタート。 木っ端や木桶、樽、板戸はいずれ作品に変身させようと思い、溜め込んでいた。 人の目にはゴミにしか見えないものが物作りをする人間には宝物。 既製品の真っ新な材料では面白みに欠けるからと年期の入った物をコツコツ溜めていたが、もはやこれ以上手を広げるほど時間が余っていないことを悟って、小屋の脇で燃やし、思い切って処分することにした。 スタートが遅かったから日が傾き始めても終わらない。 「まだ頑張っていたの。 もう上がりなさい。」と杉原さんの声。 ほんの少し空が焼け、夕焼けが薄くなると日中白く見えていた月兎庵の桜の薄紅色が色を増し、日暮れと共に水の匂いが濃くなっていった。 作業中見守るように近くでツツピーツツピーと鳴いていたシジュウカラに「今日はこれでお仕舞!」と挨拶して帰り仕度をした。
5月4日(水)晴れ 「空家が売りに出されました」 社会人になっても相変わらずスキーに嵌っている息子がスキーを楽しんだ後に帰って来た。 明日はまた再び勤務地に帰ってしまうと言うので、その前に月兎庵の冬囲い外しの任務をツレアイ共々に仰せ付けて滝谷入り。 月兎庵の桜は既に満開。 春風に乗って花びらがハラハラと散り始めていた。 力仕事は男性軍にお任せして私〆は小屋の整理に取り掛かった。 老朽化した小屋はこの冬の大雪で大きく傾き始め、次の雪のシーズンには潰れそう。 その前に小屋の半分を取り壊すことにした。 自然環境の厳しい所で暮らしていると、必ずと言っていいほど毎年どこかを修理する必要が出て来る。 昨年は月兎庵の屋根の塗り替えをし、今年は小屋の取り壊し(半分)と月兎庵の雨どいの修理をすることにした。 毎年少しづつ手を掛けることで家は長持ちし、月兎庵なんぞは後100年は持ちそうな勢いだ。 さすがに男手があると冬囲い外しもアッと言う間に終わった。 それならば小屋の片付けもお願いしておけば良かったと思ったが、お手伝いはウンザリされない為にも少しにすることが肝心。 小屋の片付けをしていると杉原さんが、村の一番上にある家の取り壊しと、村の中ほどにある家が売りに出されている情報を知らせに来てくれた。 また一軒減って寂しくなるが、売り出されている空家に買い手がつけば嬉しい。売り出された空家はまだ見ていませんが、看板が立っているそうです。 値段は相談とのこと。 滝谷に関心のある方、入村して来ませんか! いい所ですヨ!!!
ヒヨドリと月兎庵のオオシマザクラ 「再開店おめでとう!!」 先日、5年前に店を閉めた赤谷集落の元うどん屋「山水」のおやじさんから、また店を始めると連絡が入った。 早速出掛けてみると、店先に「う」の看板が。 う?う? 名前を変えたのかと聞いてみると、うどん屋をやろうか鰻屋をやろうか、どちらでもいいように「う」にしたのだと。 元々は鰻屋から始まったお店。 この度は「うなぎ」と「わっぱ飯」をすることにしたそうだ。 子供の頃、父が投網が趣味で夏になると毎日うなぎと鮎を食べさせられていた私〆は、食べ飽きて、大人になってからは好んで食べようとしなかった鰻を久々に食べてみた。 毛嫌いしていた鰻をペロリと食べた。 さすがに自信を持って出してきた山水のオヤジのうな丼は美味しかった! 水出しコーヒーで有名な「ミントン」の斜向かいに駐車場があり、そこから階段を上がった所がお店。 ぜひ御ひいきにしてください。 今のところ震災後うなぎの値段が急騰してしまったそうで、今日のところは2400円と高かった。 しかし、落ち着けばもっと安くなると思う。 1800円ぐらいが良いなぁ。 ちなみにわっぱ飯は1200円です。
|