月兎庵田舎暮らし 

 

2011年1月・2月

2月26日(土)くもり 「淡雪を期待して」

山側は雪の予報が入っていたので期待して出掛けた。 しかしサラッとしか降っておらず、花戯れ作品を創るのは今期は終りかもしれない。 今後の予定が入っていなければ花を抱えて遠くまで出掛けることはできるのだが・・・。

日に日に沢水は音を立てて勢いを増してきた。 除雪され摘み上がった雪塊を側溝に流そうと、スコップを立てるのだが歯が立たない。 通りがかった村人から「硬くてダメでしょう」と声を掛けられた。 村人達は季節に寄り添って生活している生活上手だから、私のように無駄なことはしない。 あと一ヶ月もすれば、ほとんどの雪は融けるのだから。

 

 

2月23日(水)快晴 「乱反射」

日中は気温が15℃まで上がり、3月下旬から4月上旬の気温だったとのこと。 雪もここ2,3日でずいずんと解けた。しかし、除雪されてできた壁はまだまだ高く、雪割りのシーズンにはまだ早いようだ。 快晴の中、連日雪原に出ていると日焼けが気に掛かる。 イヤ、日焼けと言うより、この歳になるとシミやシワが気に掛かると言った方が正しい。 真夏の強い日差しの中でもスッピンで平気で過ごすが、雪の乱反射は真夏より強烈だからタップリとファンデーションを塗りたくる。 それでも日に日に焼けてくる。 帽子を被ったぐらいでは防ぎようが無く、ほとんど無抵抗状態だ。

シミやシワなんか平気の平左ヨ!と言えるお年頃に早くなりたいもんだと思うが、滝谷のばっちゃん達のシミもない肌理の細かい素顔の美しさを日々見ていると、一生戦って行かねばと思ったりもする。 誤解を招かないように彼女達の日々のお手入れを説明すると、彼女達はシミやシワを防ぐ高級な化粧水や乳液を使っているとは思えない。 自分で育てた新鮮な野菜を日々たっぷりと食べ、野良仕事の時は虫除けと汗取りの為に手ぬぐいで顔を覆っている。 そして滝谷のきれいな水で顔を洗っている。 それだけである。 だから彼女達は戦っている感覚はないだろう。

それに控え、街場に住んでいる私〆は鮮度の落ちた野菜を食べ、消毒液のジャバjジャバ入った水道水で顔を洗わなくてはいけない。 だから戦わなくてはいけないのだ。 雑誌でもテレビでも化粧品の宣伝が多いのは、皆さんも戦っているのね。

   

 

2月22日(火)快晴 「変化」

今日も雲ひとつ無い快晴。 撮影地を探して車を走らせていると、いつしか足はゴルフ場に向かっていた。 「そうだ!ここで撮ってみよう」と、カンジキを履いて中に入っていった。 中に入ると何処か懐かしく思える風景に出会った。

「広々とした所で雪だるまを作って、そこで撮影できたら・・・」とアートディレクターさんに話しをしておいたら、連れて来られたのがこのゴルフ場だった。 カメラマンさんとアートディレクターさんと三人で雪だるま二体作って、花の撮影をした。 もう20年も前のこと。 あの頃は年中花の仕事で方々出掛けていたが、20年後に、よもや自分で撮影しているなんて考えてもいなかった。

帰り道、福島潟に寄った。 撮影をしていると「こんにちわー」と声を掛けられた。 振り向くと懐かしい顔。 仕事でご一緒したことがあるカメラマンさんだった。 花の仕事が重点だった頃は、様々なジャンルのカメラマンさんと一緒に仕事をした。 その度にファインダーを覗いた。 その時のことが今に繋がっているのかと思うと、チョット不思議な感覚が湧いた。

  

 

2月21日(月)快晴 「時間を泳ぐ」

今朝は放射冷却になった。 ノンビリなんってしていられない。 目覚めのコーヒーを点て急いで朝食を済ませると、またしても花を抱えて飛び出した。 勝負は午前中。 雪原はもうカンジキなしで自由に歩ける。 朝日を浴びた雪原がキラキラと輝き、木々は青紫の影を落としている。

自宅の引越しXデーが決まった。 準備は徐々に始めているが中々進まない。 溢れんばかりの物にウンザリ。 目をつぶってエイヤーッと捨てようと思うが躊躇してばかりだ。 そんな中、花戯れ作品を創れるのも後わずか。 蔓集めも、そろそろ開始。 こうなったらフリーランスの利点を活かし時間を泳ぐしかない。 クロール、バタフライ、バック、犬掻き・・・なんでもいいから兎に角泳ぎきって向こう岸に辿り着きたい。

   

 

2月20日(日)晴れのち曇り 「昔は馬。今は・・・」

2月に入って降雪が落ち着くと、山から木の切り出しが盛んに行なわれる。 ここにも人の知恵が活かされている。 残雪があれば地面を傷めないですむ上に、昔は伐採した木はソリに積まれ、馬が牽いて山から下ろしていたそうだ。

 

 

2月19日(土)晴れ 「赤谷どんつき祭り」

昨日、再び冷え込んだにも関わらず着実に春の足音がしてきた。 月兎庵の前の側溝は沢水が勢いよく流れ始めゴーゴーと音を立ている。 2月第三土曜日の今日は、700年以上昔から伝わっている隣村、赤谷のどんつき祭り(はだか祭り)が行なわれる。 そして、赤谷では「どんつき祭り」に合わせて「とんど焼き」も行なわれる。 私は今年の滝谷のとんど焼きに参加できなかったので、子供の頃に飾っていた古いお雛様をお 焚上げしようと、お雛様と市松人形を抱えて会場に向かった。 上赤谷山神社参道入り口から神社までの途中の広場では、既に午後4時に火が点けられた賽の神は真っ直ぐに煙が立ち昇っていた。

  

 

お焚上げしたお雛様が燃え尽きるのを見届けて、今夜どんつきが行なわれる上赤谷山神社へ参拝に向かった。 とんど焼きの会場から沢を二つ渡り、小高い丘を登ると神社が見えてくる。 境内からは二王子岳、焼峰山、蒜場山が見渡せ、眼下には赤谷集落が見える。 山々を崇拝し、村人を見守るように建っているこの神社に来る度に、古人の自然への謙虚な姿や優しい心根が伝わってくるようで、何故か心が温かくなる。 今日は村を離れ、街に住んでいる若者達も帰って来ているようだ。 帰りたくなるような故郷やお祭りを持っている人達は幸せで、現代では贅沢なことに思える。 高齢化が進み、祭りに参加できる人(厄年の男性)が少なくなっている赤谷だが、この祭りがいつまでも続きますようにと祈りたい。

 

 

2月17日(木)晴れのち曇り 「目にも春」

旧東赤谷駅近くの林をカンジキを履いて散策しているとネコヤナギが芽を吹いていた。 足元はまだ2メートル近くの雪がある。 一月には連日降っていた雪も、今月に入ってからはさほど降っていない。 このままサッサと冬が過ぎていくのだろうか。 ちょっと淋しい気分。 今週末は赤谷の奇祭、はだか祭りが行なわれる。 例年ならば今頃が一番冷え込んで積雪も多い時期なのに、、、。 ここの地域では、はだか祭りを迎えると、暦は春。

 

 

2月16日(水)晴れ 「春の気配」

気温が一気に上がり、今日は7℃になるらしい。 だからじゃないけど、3日前から冬の空気から春の空気に変わったことを体で感じる。 それは陽気がよくなりポカポカするとか、光が春めくとかよりも早く感じる。 この先雪が降っても空気は変わらないで春の空気なのだ。 季節の変わり目は、目には見えないけど、ある日一日を境にがらりと変わる。 それを感知できるようになったのは山暮らしが長くなったってことかな?

 

 

2月14日(月)くもりのち晴れ 「朝の散歩」

朝目覚めると外はほんわか雪化粧をしていた。 風は弱いが、そろそろかも・・・と、今朝の散歩は一石二鳥を目論んで海岸に出掛けることにした。 キュッキュと新雪を踏んで波打ち際まで行くと、残念ながらアオヤガイは打ち上げられていなかった。 打ち上げられる時期は地方によって違うらしいが、以前拾った時期は新潟では2月だったと記憶している。 海が荒れた翌日に行くと透き通った巻貝が浜辺に打ち上げられている。 中にはタコが入っている為に鳥が食べに来る。 デリケートなアオヤガイは鳥の口ばしで直ぐに壊れてしまうから、完全な形のものを拾うには鳥との競争になる。 今年の個展ではアオヤガイを使った「あかり」を作りたいと思っているのだが、調達できない不安がチョッピリでてきた。

一つ目の目論みはハズレに終わったが、散歩をしていると日が差し始めた。 急いで車まで引き返して、花を抱えて砂浜を歩いた。 山とは違う「花戯れ」の作品が撮れ、今日は一石一鳥で終わったが良しとしよう。 欲張り過ぎたらイカンよね。

 

 

2月13日(日)くもり時々雪 「目線くださ〜い」

「うちの人が食の陣のステージに上がります。お時間があればひやかしへ・・・」と、蕎麦仲間のヒメからメールが入った。  「ひやかしへ・・・」と言うことは「写真を撮って来てくれ」と勝手に解釈し、俄かフォトグラファーの私〆はツレアイと蕎麦仲間を誘って、食の陣の古町会場へ出掛けた。 昨日に引き続き今日も大勢の人出だ。 今日は古町会場だけで3万人の人出と言うから、やっぱり胃袋イベントは強い。

早速特設ステージの真正面に陣取った。 アシスタントを引き連れてK氏ご登場! 調理中の間合いを見計らって、うめめ風に、「目線くださ〜い」と声を掛けた。 すると司会者が、「さすが!K先生のお料理番組は人気がありますが、ここでも人気がありますね!」と、私〆はファンに間違われた。 イヤイヤ、いつも美味しいものを食べさせて頂いていますからファンではありますがね。 声を掛けるなんて本当は恥ずかしいのですが、撮る方が恥ずかしがっていては写真なんぞは撮れません。 Kさん、お疲れ様。そしてご馳走様でした。(試食しちゃったんです。 エヘヘヘ・・・) 

 

 

2月12日(土)くもり 「優しさに支えられ」

2月に入ると一日の気温の寒暖差が大きくなり雪は凍み重くなる。 今日は吹雪になるとの予報。 積雪が多くならない前に、今日こそ裏側の屋根の雪掻きをしなければ雪の重みと地上から続いた雪に引っ張られ、屋根の垂木が折れてしまう危険性がある、と、滝谷へ向かった。 毎回、今日こそ裏の雪掻きをしようと出掛けるのだが、その度に月兎庵の入り口の雪掻きで精根尽きて裏側まで手が回らなかった。 もしかして今日もかと不安が過ぎった。

月兎庵に到着。 すると目の前に信じられない光景が目に飛び込んだ。 道路から月兎庵の入り口までキレイに除雪されているではないか! 今まで車一台しか駐車できなかったのに、今はゆうゆうと車2、3台は停められる程になっている。 いったい誰が? 屋根屋の佐藤さんは今年に入ってから連日雪掻き仕事を頼まれ、今やダウン寸前だし、何かと月兎庵の整備をお願いしている星さんは病み上がりだし・・・。 誰が雪掻きをしてくれたのか分からないまま、裏の雪掻きに精を出して予定時間より早く作業は完了した。 そこへ屋根屋の佐藤さんの奥さんが通りがかった。 聞くと、雪掻きをしてくれたのは、やっぱり星さんだった。  滝谷へ入村して12年になる。 今までもいろいろと難題にぶつかった。 その度にギリギリまで頑張ってみた。 あー、もうダメだ!とくじけそうになると誰かしら救いの手を差し伸べてくれた。 人の優しさに触れられる滝谷は私にとっては心がポカポカになる宝の山だ。 だからこの里に通い続けているのだろう。  

雪掻き作業終了後、新潟へUターン。 友人が実行委員長、副委員長として頑張っている新潟最大の食のイベント「にいがた食の陣」会場へ陣中見舞いへ。 毎年このイベントに合わせて東京からやって来る新潟応援団のNさんとも 会場で待ち合わせ、久々に皆で近況報告、地域について、地域活性化について熱く語った。 外はまだまだ寒いが、心はポカポカ。

 

 

2月11日(金)くもり 「自然界のドラマ」

花も抱えてチョット早起きして撮影に出掛けた。 久々に瓢湖に立ち寄ると鷹なのかトンビなのか判らないが、カモを鷲づかみして飛んで来ると沢山カモが集まっているところに掴んでいたカモを落とした。 民家が押し迫っているところで、いきなり自然界のドラマが目前で起きて、その様子を唖然として眺めた。 瓢湖と言えば白鳥で有名な湖。 今までは白鳥ばかりに注目していたのだが、今日は猛禽類のこの鳥たちに釘付けになった。 獲物を狙う目。 急転回するための翼の動き。 精悍で美しいと思った。 狩りをする姿は、まさしく生きる姿だ。 今日で瓢湖のイメージが変わった。 

月兎庵を構えて以来、滝谷の動物や植物から生きることの哲学を教えられることが多く、それらの生態にどんどん惹き付けられるようになったが、瓢湖も我がフィードルになりそう。 先ずは瓢湖通いの前に、しばらくご無沙汰している紫雲寺の野鳥センターに出掛けよう。 渡り鳥の北来行も始まったようだ。 今年は滝谷のカワセミとオオルリを撮りたいなぁ。

  

 

2月6日(日)晴れ 「表現する」

ある日、美術館の学芸員の経験のある美術評論家の方に「花戯れ」シリーズを観て頂いて感想を乞うた。 すると「花もとても綺麗だし雪も綺麗だけど、まだ表現されていませんね」と、言葉を選びながら私の気持ちを気遣うように感想を述べられた。 正直、まだ表現されていないと言う言葉を聞いた時は軽いショックを受けた。 自分では目いっぱい表現しているつもりだったから。 それ以降、「表現する」と言う言葉が呪文のようにグルグル頭の中で廻っている。

机に向かって考えても、台所に立って考えても回答など出て来っこないからと、今日も花を抱えて飛び出した。 いつかきっと見つかるはず。 いつかっきと自分だけの世界が描けるはず。 そう信じて続けていこうと思っている。 だって、経費も掛かって時間も掛かる、こんなトボケた作品を創っているのは世界中で私ひとりだから。 表現する意味を再考させてくれたO氏に感謝。 「表現できましたね」と聞ける日を楽しみに。

 

 

2月4日(金)雪のち曇り 「八文目」

腹八分目と言う言葉があるが、腹に限ったことではないと思う。 滝谷で過ごす時は 雪掻きやら灯かりづくりの下準備、撮影、食事づくり等、ほとんど肉体労働なので一つのことに集中し過ぎると後が何も出来なくなるから、何事も八文目 で止めることにしている。

月兎庵の裏側は北にあたる為、二階の大屋根からの雪が融けない。 今日は気温が9℃に上がると予報が出ていたので、地上から続いている雪を掻くことにした。 しかし、思ったほど気温は上がらず、雪も昨夜の雨で重くなっていたので八文目どころか六文目で止めた。

 

 

2月3日(木)晴れのち曇り 「凍ってしまった〜!」

今日は節分。 一歩一歩と春に向かうが、滝谷はまだまだ冬の中。 今日トイレの水が出てこなくなった。 洗面所の水は冬寒くなると毎年凍るから驚きはしないし、生活に何ら支障は無いから慌てることも無いが・・・トイレとなるとチョット訳が違ってくる。 水洗トイレにしてから一度も支障はなかったのに、こんなことは初めてだ。 それでも風呂の残り湯をタンクに入れれば急場はしのげるから、と、まだ呑気に構えていたが、シャワレットの操作パネルのボタンを押してもウンもスンも無いのにはハタと困った。 シャワレットなんぞ25,6年ほど前には使っていなかったのだから、こんなことでと思うのだが、生活習慣とは恐ろしいもんだ。

昨年も雪は多かった。 しかしトイレの水道管まで凍ることは無かった。 昨年は月兎庵に篭もることが多かったから支障が無かったのか、水道管の防寒カバーが劣化したのか原因は不明。 二月いっぱいは、まだまだ雪が降る。 このままだといずれ風呂も台所も凍っていくのかと思うとゾッとするが、雪囲いをしている風呂と台所は今のところ大丈夫そうだ。 万が一、凍ったとしたらヤカンに雪を詰めて溶かして煮炊きをすればよい。 風呂は山を下って温泉に行けばいい。 イヤ風呂なんぞ入らなくっても死ぬ訳でもないからサバイバル生活を楽しもうかな。  

 

 

2月2日(水)晴れ 「再開」

朝一番に花市場に行った。 場内をぐるっと廻ってイメージに合った花を数種類選んだ。 見ているとアレもコレも欲しくなるが、花は10本一縛りか、中には50本縛りのものもある。 市場ではロットでしか買えないから気を許すとアッと言う間に1万円など軽く越してしまう。 創作の素材だから仕方が無いと言えばそれまでだが、創作現場で使わなかったり使えなかったりする場合もあるので、その度に大枚叩くのはキツイものがある。 躊躇せずに抱えきれない程の花や時にはトラックいっぱいの花を買った時代をふと懐かしく思う。 

あの頃は仕事で余った花を抱えて雪原に出掛けて行った。 そして、雪原の中で夢中になって日が暮れるまで花と戯れた。 1996、7年の頃だと思う。 まだアトリエを滝谷に移転していないころだから、その頃は小千谷市や山古志、栃尾など雪の深い所を求めては花と戯れた。 それから毎年機会を作っては一点一点写真作品を創った。 その作品は「花戯れ(はなざれ)」と名を付けてシリーズになっていった。

滝谷にアトリエを移転し、あかりの仕事が忙しくなるにつけ花戯れシリーズの枚数は増えて行かなかったが、今年に入ってまた花戯れシリーズを本気で再開し ようと思った。 それは発展型なのか卒業の為のものか、今、自分でも分かっていない。 ただただ勘が戻るのか、インスピレーションが湧くのかと、不安を抱えての再開である。 とにかくバカになって、子供ごころを忘れず、自分で自分を笑いながら撮っている。 花を抱えて雪原に出るとやっぱり文句無く嬉しい。

「雪崩に遭わないようにね」と花市場の人に声を掛けられた。 今日は気象庁も自信を持って「晴れ」と予報した。 一気に気温が上がると雪崩の危険性が高くなるから、今日は平野部で遊んだ。

  

 

2月1日(火)晴れ 「スケジュールの決め方」

居座っていた寒気もどうやら緩んだようだ。 県内には積雪4メートルにもなった所があったそうだが、滝谷は2メートル50位で落ち着いている。 それでも屋根屋の佐藤さんは屋根の雪下ろしを頼まれて毎日奮闘していたからダウン寸前まで行った。 寒気が緩むと山からの水も増えて除雪作業が捗るから、明日は雪掻きに精を出すゾー、と、こんな具合に私のスケジュールは第一に天候。第二に作業の手順。第三が人との約束といった順で決まっていく。 だから手帳には事前の予定が何も記されていない。 記されているのは事後のことだけ。

  

 

1月31日(月)晴れのち曇り 「獣の気配」

撮影中、ツーンとした雪の匂いの中に時折獣の臭いがした。 辺りには民家などないから多分獣の臭いだと思う。 それは、以前私に見せようと杉原さんが捕まえて鳥篭に入っていた小タヌキの臭いに似ていた。 雪原で動物に会いたいと常に願っている私は、嬉々として風が吹いてくる方向を見回した。 でも何処にも見当たらなかった。 それに雪原に着いている足跡は皆ウサギの足跡ばかりだ。 雪が降ると雪原には様々な動物の足跡が残り、他の季節より動物を身近に感じる。 昨シーズンは、杉原さんの裏庭でニホンカモシカの足跡を見つけた。 月兎庵に初めて泊まった夜にはムササビの足音に驚いた。 半月ばかり同居していたが、いつの間にか帰って来なくなった。 ある年、熊がクルミ林で私の集めておいたクルミをすっかりキレイに平らげ置き土産を残して行ったこともあった。 人の生活の中に様々な動物たちの息づかいを感じる度に、幸せ!最高!贅沢!と歓喜する私。 この感動は何年経っても変わらない。 会いたい!なぁ。

 

琴沢の奥でダム修理工事が行なわれているとのこと。道路はしっかり除雪され、一日に何台ものミキサー車やダンプが通って行く。 通行止めの鎖さえなければいいのになぁ。 

 

1月29日(土)小雪&晴れ 「指南役?」

近頃は家での作業が多くてなかなかアトリエに篭もれない。 天気予報を見る度に大雪マークばかりだ。 レーダーに雲影が映っていなくてもTVでは大雪だ!大雪だ!と騒いでいるから、さすがに能天気な私でも滝谷のことが気掛かりになる。 今日も案の定、滝谷に到着した頃にはお日様ピカピカだった。 先日の除雪から、思っていたほど積雪はなかった。しかし、山からの水は相変わらず少なく、雪を溶かせないから雪掘り作業を続けなければいけない。

今日も除雪をしていると向かいの外門さんが出てきた。 他愛もない話しをしながら雪掻きをしていると楽しいのだが、外門さんは必ずと言っていいほど私の仕事ぶりにチェックを入れてカラカウ。 今日も「駐車スペース、そんなに厚く(雪)していちゃダメだよ。」と。 「いいんだ、いいんだ。車が入ればいいんだ」と大らか(?)な私。 外門さんの車が出て行った後を見れば、青々した芝が見えていた。 いいんだ、イイんだ。

 

今日は赤谷の皆さんも頑張っていた。

 

1月28日(金)くもり時々晴れ 「ハプニング」

家で黙々と作業をしていると息詰まってきた。 日が差し始めたので気分転換も含めて撮影地探しに出掛けた。 今撮っている作品は影がポイント。 何処でどんな影が出るのかウロウロし車を止めた。 駐車位置を変えようとエンジンスイッチを回した。。。なのにエンジンが掛からない。 先っきまでスイスイ掛かっていたのに、何度回しても掛からない。 キーを差し込もうとしてもキーの差込口が開かない。 今時の車はキーを持っているだけで、エンジンスイッチを回せばエンジンが掛かる。 鍵穴にキーを差し込まなくってもドアが開く。 誠に便利この上ないと喜んでいたのに・・・。 取扱い説明書を出してトライした。 でも開かない。 困った時の神頼みとディーラーの担当者に電話した。 待つこと30分。 新しいバッテリーを抱えて担当者はやって来てくれた。  

自分の健康診断はおろそかにしている私だが、車の健康診断は優等生なのだ。 冬に入る前にはしっかりと点検をしてもらう。 ファッション アイテムはケチっても、交換部品はケチったことがない。 なのに・・・。 昨年の夏、一度だけ不覚にもバッテリーを上げてしまった。 まだ大丈夫です、と言う言葉を信じて、そのまま乗り続けていた。 担当者曰く、最近の車のバッテリーは突然ダメになるのです、と。 二十歳から車を乗りだして、その頃はバッテリーが弱ってきたらそれなりの予兆があった。 いや、つい最近までの車は予兆があったのに、車も進化しているんだと単純に信じていた私がバカだった。 PCも突然バタッとダメになるらしいが、車もか! どうりで近頃担当者は「そろそろ買い替えを・・・」と、のたまう。いーえ、まだまだ買い換えませんからネ! 10年は乗ります。まだ6年あります。 突然バタリは企業戦略かしら? それにしても虫の予感かしら。 山の中でなくって良かった!!

 

 

1月26日(水)くもり 「ピカイチ除雪」

「滝谷には入れるの?」とよく聞かれる。 心配ご無用。 除雪機が通った後はご覧の通り、垂直な雪の壁の出来上がり。 道路は各地域の土建会社が請け負っているのだが、滝谷地区を受け持っている杉原組は新発田でピカイチの腕前だ。 この腕前はどうだ!と言わんばかりの仕事を見る度に、さすが!凄い!と感心し、感謝!感謝! 滝谷までは難なく入れるのだが、家に入れるのかと聞かれると、ウぅとウナッテしまう。 しかし、今日は車一台分のスペースはできた。

 

 

1月25日(火)晴れのちくもり 「サザンカの予知」

除雪をしていたら佐久間のじっちゃんが散歩して月兎庵の前を通った。 側溝に水がなくって雪掻きが大変だと言うと、「うちのサザンカが昨年は葉っぱの上に蕾を持っていたのに、今年は葉っぱの下になっているから、植物は大雪を予知していたのかも」と。 虫や動物の予知能力はよく聞く話しだが、じっちゃんの話を聞いていると植物も持っているような気がしてくる。 予知能力が無いのは人間だけかぁ。 文明汚染ってところかな。

 

 

1月23日(日)くもり 「家は何処ですかぁ」

早朝。ツレアイと蕎麦仲間のIさん二人の助っ人を得て滝谷へ。 赤谷集落付近から村も山も谷も新雪を被り一面銀世界だ。 案の定、滝谷集落はもちろんのこと、月兎庵もすっぽり雪の中だった。 除雪した道路脇の雪の壁は優に2mは越え、見えるのは屋根のてっぺんだけ。 金、土曜日、二日間で80pは積もったとのことで道路から玄関先に置いているスコップとスノーダンプを取りに行くにも一苦労。 もはやここまで積もったら雪除けや雪下ろしではなく、雪掘りになる。 おまけにふわふわの新雪は水を吸ってしまうから、いつもは流れている家の前の側溝は今日は水が流れていなくて、終始雪掘りに徹するはめになってしまった。 そして毎日11時半には鳴る隣村の赤谷のサイレンの音さえ雪に吸収され、一段落した時は既に1時を廻っていた。 毎日雪除けしていれば今日ほど大変ではないのですが・・・やっぱり冬は滝谷に篭もれ!と言うことかな? もちろん帰りには月岡温泉で極楽!極楽!!

 

隣りの栗原さんの家も留守がちなので雪にすっぽり。

 

1月22日(土)東京・晴れ 「寒冷地仕様の体には」

昨年末から何かと東京に出掛ける用事があり、昨日からまたまた東京。 ピーカンの冬の東京はどうも馴染めないと言うか、まったくもって味気ないと、上京する度に思ってしまう。 ちょっと空気がヒンヤリしている程度で、東京には冬がないと思う。 出掛ける時は普段より一枚薄着になるのだが、打ち合わせにアチコチ移動すると汗をかいてしまう。 だから東京に居る間は、「青菜に塩」状態の私だ。

新潟での移動は車がほとんどで運転中ぼんやり考え事などできないのだが、上京して良い点は電車移動だからボンヤリ考え事ができる。そのお蔭で今日、今年の個展のテーマがふと湧いてきた。 帰宅すると来年の写真展の企画決定の通知が入っていた。来年は神戸での「あかり」の企画展もあり、気を引き締めて頑張らなくっちゃ。

このところ打ち合わせ準備で滝谷に入れず、月兎庵が心配。 明日は雪掻きに行こう!

 

 

1月14日(金) 吹雪のち晴れ 「スポーツ感覚」

朝吹雪いていた雪も止み、お昼近くからはみるみる青空が広がりマイナス1℃まで冷え込んだ雪原はキラキラ輝き出した。 雪掻きは後回しにしてカメラを持って早速あちこちに出掛けた。 久々に撮影している実感を感じながら次々にシャッターを切った。 いつも感じることだが、撮影って俊敏性や洞察力、判断力、集中力、決断力が伴い、どこかスポーツ感覚に似ている。 今日も撮影後は頭も体もスッキリ。 気分もシャッキリ。

 

 

1月12日(水) 「花絵」

今日は、にいがた花絵プロジェクトの新年会に出席。 実行委員長をバトンタッチした後は、打ち上げや新年会には出席しないで草葉の陰(笑)で見守っていた。 (乾杯の挨拶で「草葉の陰」と言ったら「草花の陰」でしょ!と突っ込みがあった。) しかし、今日は私が誘って実行委員になってくださった花絵のお母さんこと山田和子さんが自分の半生を綴った本を昨年出版され、その出版記念と喜寿の祝いのおめでたい席の上、花絵の実行委員に引きずり込んだ当時は、独身で会社員だった上杉ともゆき君が市会議員から県会議員へ、山際つとむさんが市会議員へと、今春、立候補する。 その激励会も兼ねていたから草花の陰に隠れる訳にもいかず出席した。

花絵は100%ボランティアの市民活動だ。 パトロンに行政がついている訳でもなく、一口1000円の協賛金を皆のネットワークを活かして集めていく。 代表者に著名人を据える訳でもなく、言ってみれば何処の馬の骨か分からない者達が集まって(スタート時点から言っていたから、花絵の皆さん許してね)、チューリップを活用してコミュニティーの復活、観光資源の創成、花き産業への応援などの目的で19年前に始めた市民活動だから年齢も職業もバラバラ。 その何処の馬の骨か分からない集団から政治家が二人も誕生しようとしている。 これは驚きと嬉しさと同時に誇りに思う。 しかし、よく考えてみると、一生懸命市民活動をしていると、当然、政治に対しての関心も高まるから自然の流れかもしれない。 若き二人の活躍を願い、喜寿を迎えてまだまだ市民活動に情熱を注ぐ花絵のお母さんに乾杯した良き日だった。 19回目の今春には多くの大きなチューリップが咲きそうだ。

 

花絵実行委員と花絵友の会の面々

 

1月9日(日)雪 「雪のかたち」

山には雪雲がかかり、久々に雪を期待できると滝谷へ。 案の定、新潟市街地は雨であったが阿賀野川を越えると雪に変わった。 何の変哲もない風景が、雪が降るとガラリと魅力的になる。 枯れ木に雪が着雪すると、それは墨絵の世界。 滝谷までの道中、ススキやカヤに、杉やコナラに降り始めた雪が薄っすらかかり、今日は何処にレンズを向けても絵になる状態だ。 その割には雪掻きに追われて傑作は撮れませんでしたがね。 トホホホホホ。 

雪の降り方も様々だが、枝に積もる姿も様々。 月兎庵の木々を見ても、桜はスーと平均的に積もるが、ミズキは枝の先に搗き立て餅をポッテリ付けた様になる。(角餅を創造してはいけませんゾ。) ミズキに積もった雪を見ていてフッと気づいた。 新潟県では小正月に餅花を飾る風習がある(最近は一般家庭ではしていない様です)。 その餅花に使われる木はミズキでダンゴの木と呼ばれている。 もしかして、先人たちはミズキに積もった雪の姿を見て、餅花を考え付いてミズキに飾ろうと考えたのかな?・・・と想像をめぐらしたのだが、ハズレかなぁ。当たりかなぁ。

  

 

1月3日(月)晴れ時々くもり 「仕事始め」

天気予報では連日雪マークが出ているが、三が日で雪が降ったのは昨夜一時だけ。 冬の天気予報は外れることが多い。 だから冬の撮影は現場主義。 現場に行かない限りお天気は分からない。 とは言うものの滝谷の積雪が心配で早速出掛けて雪掻きをした。 これが今年の仕事始め。

滝谷も思っていたほど降り積もっていなかった。 せいぜい20pほど。 年末に除雪した後がクッキリ残り、スイスイ除雪できた。 鈍っていた体もどうやら元に戻ったみたいで、腕も膝も痛くなかった。 ただし降った雪が少ないと言っても昨年の夏に屋根(トタン葺き)のペンキを10年ぶりに塗り替えたので、積もった雪がスルスル落ちて玄関の両脇は相変わらず門松状態に積もり、直ぐにひさしまで達してしまう。

古民家は常に手入れを必要とする。 手を掛けるから愛着が湧くのだが、すでに買った値段の数倍は使った。 それでも雪掻きをしながら、今年は何処に手を加えようかと考えた。 外観は変わらずとも中身は進化している月兎庵だ。 アレレレレ・・・そこの庵主はと言えば、外観は変わり!中身は進化している? ヤバイなぁ。 ウん、外観は元に!中身は進化! これを目標にしよう。

   

 

1月2日(日)薄曇 「新年」

新年あけましておめでとうございます。

年末年始は天候が荒れると予報されていたにも関わらず、大晦日は曇り、元旦は薄日が時折差し込む穏やかな新春を迎えた。 雪が好きな山姥でもちょっと得した気分。 その反面、故郷の鳥取は大雪で、1000台もの車が立ち往生していると言う。 18歳で故郷を後にして以来お正月に帰省できたのは 多分一度だけだった。 今ではどんな御節料理だったのかも忘れてしまうほどだ。

 

本年もどうぞ宜しくお付き合いのほどを

 

 

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